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ニューヨークの生活、MBA、仕事・・・
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幸せって…

Personal Leadership & Success の授業がなかなか面白い。
前回の授業では「いかにして幸せに生きるか」について議論した。
なお、以下の内容は基本的に授業の内容であり、僕の見解ではありません。

ここで言う「幸せ」とは短期的な、例えばチョコレートを食べて幸せ、とかいう類のものではなく、もっと長いスパンで考えた場合の幸せである。
幸せを決定する要素としては、「(1)幸せと感じる領域」と「(2)環境」の二つがあげられる。

(1)幸せと感じる領域
「幸せになるための障害」とも言えるもので、以下の二つに分けられる。

①Happiness Thermostat(幸せの温度自動調整器)
あるラッキーなことが起こると人は誰でも幸せな気分になるが、その幸せは長続きせず、しばらくすると元の状態に戻ってしまう。
例えば、宝くじで大金を手にした22名を追跡調査した結果、彼らはしばらくの間は幸せな気分に浸るものの、一定期間を経過した後は手元にまだ十分なお金が残っているにも拘らず、精神状態は宝くじを当てる前と同じ状態に戻ってしまったらしい。
逆に、ある悲しい出来事が起こったとしても、しばらく時間がたてばその悲しみにも慣れて元の精神状態に戻るということも証明されており、四肢麻痺となった人を調査した結果、84%の人が自分の生活レベルを平均、或いは平均以上と回答したそうだ。
以上のことから、人はそれぞれ幸せ(不幸)に関する領域(range)を持っていて、短期的にはその領域を超える幸せや不幸を経験するものの、中長期的には自分の領域の範囲内でしか幸せ・不幸を感じることが出来ないとされている。

②Hedonic Treadmill (快楽の踏み車←適切な訳が思いつかない…)
何か良いことが起きると、人はそれを当たり前だと思ってより良いものを求めるようになる。
例えば、昇給・昇進が実現した瞬間は幸せを感じるが、しばらくたつと昇給後の給与・昇進後の職位を当たり前だと感じるようになり、より高い給与・職位が得られないと同じ満足感を得ることは出来ない。
「健康でいられることに感謝しなさい」などと言われることがあり、理屈では分かっていても実践するのは難しいものだけど、これは Hedonic Treadmill のせいなのである。

これらは人間がより幸せになることを阻害する方向に働くものであるが、人によってその領域は異なり、その多くは遺伝によって決まっているらしい。
じゃあトータルの幸せのレベルも遺伝で決まっているかというとそうではなく、以下の「環境」を変えることでより幸せな生活を送ることが出来るようになる。

(2)環境
様々な環境が人々の幸せにどのように影響するかを紹介する。

①お金
直感的にはお金はあればあるほど幸せであると思われがちだけど、必ずしもそうではない。
ある研究によると、貧困に苦しむ国を除けば、国の豊かさと国民の生活満足度はあまりリンクしておらず、例えば日本と中国・インドを比較してみると日本の方がはるかに所得水準が高いにもかかわらず、中国人・インド人の方が生活の満足度が高いのである。
もちろん、生活の満足度には所得以外の様々な要素が絡んでくるので解釈は難しいのだが、様々な角度から調査した結果、所得水準と生活満足度(幸せ)の間には強い関係は存在しないそうである。
個人レベルでの調査では、Forbes 100に選ばれるような富豪と一般人を調査したところ、両者の生活満足度には大差がない(Forbes 100の人の方がほんの少し高い程度)らしい。
更なる研究の結果、一定の所得水準(貧困レベル)を超えていれば、お金と幸せの間には相関が無い、つまりお金で幸せは買えないことが証明されている。(ハマショーの歌みたい…)
また、所得水準に関係なく、お金に拘る人ほど自身の所得水準には満足しておらず、生活全般についても満足度が低い。
これは(1)②の Hedonic Treadmill を考慮すれば当たり前なのかもしれない。

②結婚
面倒なので詳細は割愛するけど、結婚と幸せはダイレクトにリンクするらしい。
逆に言えば、独身の時から幸せな生活を送っている人が結婚する傾向にあり、どちらかというと内向的で自分が不幸だと思っている人ほど結婚しない傾向にある。

③ソーシャル・ライフ
幸せな人は豊かなソーシャル・ライフを送っていることが多いが、その逆、つまり豊かなソーシャル・ライフが幸せに結びつくかは人によるらしいけど、一般的には「結びつく」と考えられている。
後者の一つの解釈としては、ソーシャル・ライフを充実させることで異性との出会いが多くなり②の結婚に結びつくとも言えるけど、不幸な人が仏頂面でソーシャル・ライフに参加しても幸せには結びつきそうにも無い。

④健康
「健康イコール幸せ」だと思ってしまいがちだけど、健康な人が考えているほど影響は大きくないそうだ。
健康な人は体の不自由な人を見てかわいそうだと思ったりするけど、体の不自由な人が自分の人生を不幸だと思っているかというと、必ずしもそうでも無い。
健康な人がいきなり不健康になれば自分は不幸だと思うだろうけど、これは(1)①の Happiness Thermostat が働いてしばらくすると元の精神状態に戻るのである。
とは言っても限界があり、やはり痛みを伴う病気や余命○○という状態になると幸せのレベルは低下する。
そういう意味で、健康な人が考えているほどでは無いが、健康と幸せはある程度リンクする。

⑤教育、気候、人種、性別
これらはどれも幸せにはリンクしない。
教育レベルの高いグループと低いグループに分けてみると、それぞれのグループ内に幸せな人と不幸な人がおり、教育レベルの高いグループに属することで幸せになる確率が高くなるわけではない。
ネブラスカの厳冬に苦しむ人はカリフォルニアの人を羨むけれど、カリフォルニアの人にとってはその気候が当たり前なので幸せには感じていない。(住めば都、というやつか。)
一部の黒人は白人を羨むけれど、白人は生まれつき白人なのでそれ自体を幸せに感じることは無く、例えばうつ病患者の割合は黒人・ヒスパニックよりも白人の方が高い。
性別について、男性は自分のことを平均的に幸せだと感じる人が多いのに対し、女性はとても幸せな人ととても不幸な人に分かれやすいけど、平均してどちらかの性が幸せということは無い。

⑥宗教
宗教を信じている人(アメリカ人)の方がそうでない人よりも幸せであり、健康で長生きし、ドラッグ・犯罪・離婚・自殺を行う人も少ない。
これは、宗教が将来への希望や人生の意味を教えることに関係があり、信仰心が絶望と戦い幸せを切望することにつながるからである。


以上のことをまとめると、幸せな生活を送るためには・・・
○「一定レベル以上」の収入を確保すること
○結婚すること
○ソーシャル・ライフを充実させること
○宗教を信じること

また、以下の努力をしても幸せには結びつかないらしい。
○一定レベル以上に所得を増やそうとすること
○高い教育を受けること
○住む地域を変えること


* * * * * * *

以上、これがある研究の結果らしい。
個人的には(1)はすっと理解できたものの、対象がアメリカ人であることや宗教が絡んだりするので(2)についてはイマイチ理解できない部分も少なくなかった。
「所得を増やしても幸せになれない」という点などは多くのアメリカ人の思考と矛盾しているけど、多くの人はこんな研究結果を知らないし、知っていたとしてもより高い所得を求めてしまうのが人間の本能なんだろう。

授業では、「ゴールを達成する事では無く、ゴールを目指す過程において人は幸せを感じるものである」とも言っていた。
何かを求めて頑張っている過程においては幸せのレベルが上がっていくものの、いざそれを達成してしまうと元の幸せレベルに戻ってしまう、ということだろう。
だからと言って、いつまでもゴールを達成することなく頑張り続けるのが幸せなのかというと、そんな事も無いと思う。
棒高跳び世界記録保持者のブブカがバーを1cmずつ高くして世界記録を何度も更新したのは、モチベーション維持の観点からも理にかなっていたわけだ。
また、若くしてオリンピックで優勝したり世界一になってしまったりすると、例えば女子テニスのカプリアティのように非行に走ってしまったりするんだろう。

で、自分のことを考えてみると、例えばゴルフ。
去年まではあまりスコアに拘りが無く、天気の良い日に自然に囲まれて気持ちいいドライバーショットが数本打てればそれで満足だったんだけど、最近はスコアが上がってきたせいか、良いスコアを出したいという気持ちが強くなってきている。
先日初めて80台を出して喜んでいたけど、その喜びは Happiness Thermostat の作用で数日で消えてしまい、今は85を出したい、以前は満足していた95だったら落ち込むかもしれない、という Hedonic Treadmill に陥っている。

これは「幸せ」の観点からは良くない傾向かもしれないけど、これを否定すると向上心を否定することになってしまう。
まあ、研究結果が云々じゃなくて、人間そんなもんだよ、と考えた方が現実的なんだろう。

みなさんはどんな Hedonic Treadmill に陥っていますか?


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by nycyn | 2007-06-20 09:07 | MBA