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ニューヨークの生活、MBA、仕事・・・
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アルゼンチン(3)

前回の続き。
一応授業として行ったので、経済面についても書いてみる。


経済全般
20世紀前半に栄えたアルゼンチン経済だが、その後は若干の好不況を経験しつつも、基本的には下降トレンドを辿ることになる。
イギリスやアメリカによる投資により国家インフラが形成されたことは事実だが、国民の間には欧米都合による経済支配への反感が強まり、次第にナショナリズムを背景とした閉鎖的な経済へと移行していく。
これが国内産業の競争力を低下させることとなり、中央・地方政府の無計画な支出と相俟って、経済危機へとつながっていった。

80年代には過剰な貨幣発行により1000%を超えるインフレを経験、その後順調に経済を拡大させたが、90年代後半にはアジア危機の影響等により景気は後退し、通貨危機→預金流出→経済混乱から2001年には史上最大の公的債務支払停止(デフォルト、借金踏み倒しみたいなもの)を宣言し、アルゼンチン経済は混乱を極めた。
2002年にはマイナス10%のGDP成長率を記録するも、債務の元利払いから免除されたことやその後の商品価格上昇等の恩恵にあずかり、03年は逆に8.8%のプラス成長となるなど、見事?なV字回復を果たした。

税収が乏しいにもかかわらず支出の抑制を怠ってきたことが経済危機の根底にある。
現在は高い経済成長を続けているが、エネルギー需要の逼迫や脆弱な生産設備のため、生産性を向上させない限り高成長は長続きしないとの見方もある。
一方、周辺国と比べて教育レベルが高く天然資源に恵まれているため、正しい指導者の下で地道な基盤整備を行えば南米経済の中心となりうるポテンシャルがあるとのこと。(教授談)

なお、同国はデフォルトを宣言しておきながら、その後のIMFの干渉を嫌がって(デフォルト後の)債務を繰り上げ返済するなど、かなり身勝手な行動をとることがある。
デフォルトの交渉中も「全部返済しないより少しでも返ってきた方が良いだろう」と自分の立場を忘れて相手の足下を見るような図々しさがあり、交渉下手な日本が取引をするのは難しそうな気がする。


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地元企業を訪問して
最も印象に残ったのは同国最大の鉄鋼会社で、業績・設備・応対とも一流な感じがした。
中国の鉄鋼需要がアルゼンチンにまで波及しているらしく、中国特需で生産が急上昇しているとのこと。
同社は日本のNKK(現JFE)とも合弁会社を設立しているので合弁の理由を聞いたところ、「NKKはブランドネームと技術があって魅力的だが、ITシステム等は我々の方が優れていたので逆に教えてあげた。日本はオートメーション等が進んでいてハイテクに強い印象があるが、ITに関して何故あれほど幼稚なのか不思議だ。」と言っていた。

一方、スペイン系の銀行を訪問した際、彼らのリスク管理はかなりいいかげんで、資産と負債の管理(ALM)がちゃんと出来ていないんじゃないか、という印象を受けた。
国民の銀行口座保有率は50%程度しかなく(残りはイリーガルな口座)、ハイパーインフレを経験しているだけに人々は現預金保有を極力減らす傾向にあるため、この国で銀行業を営むのはかなり難しいな、とも思った。

複数の会社で「アルゼンチン人はチームワークを重んじる」と話していたけど、サッカーを見る限り「うそ~」という感じがしてならない。
あくまで周辺国と比較して、ということなのかもしれないけど。

複数の会社の敷地内に学校があり、企業がスポンサーとなって地元の子供を教育するシステムがあった。
例えばフォードでは自社工場で必要となる知識や技術を教え込み、将来の幹部候補として若いうちから育成している。
こうすることで優秀な人材を確保するとともに、長期的な成長に欠かせない地元との融和を図っているという点は感心した。

今回面会した人達は英語が出来て、それなりの教育を受けたんだろうな、という感じがした。
出てくる単語もビジネススクールで習うような単語が多く、恐らく彼らの多くはMBAホルダーじゃないかと思った。

全部で7社とミーティングを行ったけど、ちゃんとやっている会社とそうじゃない会社がはっきり分かれている感じ。
投資の観点からアルゼンチンを見た場合、個別企業ベースでは十分魅力のある会社があると思うけど、どんな会社でも多かれ少なかれカントリーリスクの影響を受けるので、最終的にはカントリーリスクをどう捉えるかという点に辿り着く気がする。


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前回書こうと思って忘れていたんだけど、海外におけるアメリカ人の振る舞いについて。
全員じゃないけど、アメリカ人は海外でも自分流を貫こうとする人が多い気がした。

例えば、朝授業に行く前にホテルのロビーで集合した時、一人がリンゴをかじりながらエレベーターから降りてきて、その次に来た奴は片手にパン、片手に飲むヨーグルトを持ってムシャムシャやりながら歩いてきた。
僕らのグループ以外で、高級ホテルの閑静なロビーで、そんな事をしている人はいない。
アメリカは食べることに対して積極的で、時にだらしなく見えることがあり、お菓子やフルーツを食べながらビジネスミーティングをやったりする事があるけど、こういうことはあまり海外ではやらない方がいいんじゃないかなと思った。

また、ある企業を訪問した時、応対してくれた人の英語があまり上手じゃなかった。
彼は我々の質問が聞き取れないことが何度かあり、その度に質問を聞き返すんだけど、質問した生徒はゆっくり・はっきり・正しい英語で話そうという気はさらさらなく、全く同じスピードでやや砕けた表現も使いながら同じ質問を繰り返しただけだった。
本来であれば訪問した我々が相手の言語に合わせるべきところ、相手がわざわざ苦手な言語で説明してくれているのである。
もう少し謙虚になってもいいんじゃないのかな。

イラクの問題などもあり、世界中で嫌われ者になりつつあるアメリカ。
世界経済がアメリカを中心に動いている今はアメリカを無視する人は少ないけど、アメリカ経済に陰りが見えてきたら・・・
80年代後半から90年代にかけて、アメリカが不況に苦しんだ時期はアメリカ人も世界各国のベストプラクティスを研究し、朝礼などの日本企業の文化を取り入れた企業もあったらしい。
そういう事態にでもならないと、彼らは謙虚になれないのかもしれない。
もちろん、そうじゃない人も沢山いるんだけどね。


以上、アルゼンチン報告はこれでおしまい。
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by nycyn | 2007-03-15 12:45 | 旅行・出張