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Zipcar 2007年 02月 23日
先日、プライベートエクイティの授業でZipcarのケースを扱った。Zipcarとは会員が車をシェアするという発想で、特定の場所に停めてある車(Zipcar)を予約して、利用した時間又は走った距離分だけ料金を払うというシステム。(1時間10ドルなど) レンタカーはオフィスに行かないと車を借りられないけど、Zipcarは街の色々な場所に停められているので、自宅から最も近い場所にあるZipcarを予約できる。 マンハッタンだけでも数百台のZipcarがあり、街を歩いているとZipcarのロゴをつけた車をちょくちょく目にする。 Zipcarは2000年に二人の女性、チェイスとダニエルソンによって設立された。 チェイスはMITでMBAを取得、コンサルティング会社等で働いたキャリアを持ち、ビジネスプランを描くのが得意。 一方、ダニエルソンは地球化学の博士号を持ち環境問題に取り組む一方、自動車修理工場で働いた事もある異例のキャリアの持ち主。 この二人が上手に役割分担をして、事業設立にこぎつけた。 Zipcarのコンセプトは、「便利」「低料金」「環境にやさしい」というもの。 自宅近くにある車を利用できることで便利さを提供し、毎日は車に乗らない都市部の人に車を所有するコストを低減させ、車の台数を減らして環境問題に取り組むことを狙っている。 問題は、どうやって車を管理するか。 タイヤの上に鍵を置いて・・・なんてことをやっていたらすぐに車を盗まれてしまうので、この問題の解決に最も時間と資金をつぎ込んだ。 そして考案されたのが、車の中にデータ転送システムを導入するというもの。 Zipcarの会員は会員カードを持っており、予約した時間になると本部から予約した車に予約情報が転送され、予約した時間に予約した人のカードにだけ反応してドアロックやエンジンが作動する仕組み。 その他、利用開始・終了時間や走行距離、ガソリン残量に関するデータも本部に転送されるので、係員がZipcarを停めてある現場に行かなくても遠隔操作で車を管理できる仕組みになっている。 また、このシステムについては特許を取得して真似されないようにしている。 しかし、事業開始段階で資金調達に苦労し、二人の創業者は無給で働き続けた。 二人とも子育てをしながら起業に専念し、自己資金で当面の資金を工面する一方、徹底的なコストカットで資金提供者が現れるのを待った。 資金調達のネックとなったのは、ヨーロッパでは普及しているカーシェアリングのコンセプトがアメリカでは定着していないことに加え、二人の創業者に起業経験・マネジメント経験が無かったこと。 それでも、ボストンにて12台のZipcarとともに事業を開始して着実に会員を増やしていくのだが、会員数は僅か420人。 今後、ボストンでの事業拡大に成功したら、今後は他の都市部でも同事業を展開することを計画する。 * * * * * * * このケースをクラスで扱う際は生徒がベンチャーキャピタリストの視点でZipcar事業の将来性を分析し、資金提供を行うかどうかを議論する。 但し、このケースは2002年に書かれたものであり、前述の通りNYでもZipcarのロゴをつけた車が走っているのを目にするので、事業として成功したことは既に分かっている。 なので、あくまでケースが書かれた時点で判断したと仮定して議論することになる。 とは言え、実際この事業は成功しているので殆どの人は資金提供を行うと発言するかと思いきや、ほぼ全員が資金提供しないとの意見だった。 その理由は、Zipcarがターゲットとしている「週に1回程度しか車を使わない人」が非常に少ないこと(アメリカは車社会)、思いつきで車を使いたい時にすぐ使えない(不便)、といったもの。 だから、ボストンで会員数を伸ばしているとは言っても数百人のレベルであり事業採算が取れるまでには成長しない、ということだった。 しかし、Zipcarの事業は固定費が非常に少なく、規模を拡大して固定費を薄める必要性が低いため、車12台でスタートした段階で車1台当たりの収益性は僅かなマイナス、同じマージンを確保したまま20台を超えればプラスになるという収益性の高い事業だった。 したがって、むやみに事業を拡大することなく、事業採算の取れる地域だけで慎重に拡大して行けば、確実に儲かる事業なのである。 つまり、ケースの付録として付いているデータを細かく分析しないとダメよ、ということを示唆しているとも言える。(←僕は面倒だからやらなかった。。。) その後、この会社はニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンDC、シカゴ、トロント、ロンドンにて事業を展開し、今後も他地域での事業拡大を計画しているらしい。 また、設立当初に二人の創業者のマネジメントスキルを疑問視する声があったことから、この二人は数年後にリタイアし、現在は外部からやってきた社長が会社を運営している。 創業者が早々と会社を去ってしまうのは寂しい気もするが、創業者はアイディアを形にして事業を軌道に乗せ、その後の事業拡大はその道のプロに任せるという考え方はアメリカらしく、創業者が何年・何十年も居座ることが多い日本企業とは異なるのである。 * * * * * * * 僕は普段殆ど車に乗らないから、年会費を考慮するとレンタカーの方が安くなりそうなので使ったことは無いけど、コンセプトとしてはいいな、と思う。 まだ利用している人は少ないんだろうけど、今後は環境問題への意識の高まりもあって、徐々に顧客が拡大していくかもしれない。 一方、日本人は車の利用頻度にかかわらず車を「所有」することに重点を置く人が多いので、カーリースがあまり普及しないのと同じ理由で多分流行らないだろうな。 そういう僕も日本にいる頃は週に1回くらいしか乗らないのに排気量3000ccのスポーツカーに乗り、駐車場代や税金などかなりの維持費を払っていたけど、今から思えば無駄だったなーと思う。 車を持たない生活を始めて3年がたったせいか、日本に帰国しても車なんか不要なんじゃないか、と思うこともたまにある。 でも、今は交通の便が良い場所に住んでいるからいいけど、日本だとそうもいかないだろうから、結局買っちゃうんだろうな。 ![]() |




先日、プライベートエクイティの授業で