|
ハートカクテル
2007年 02月 02日
高校の頃、ハートカクテルというマンガをよく読んでいた。 30歳前後の男女を描いた4ページ読みきりのマンガで、「多忙な男、待たされる女」という設定が多く、ちょっとキザなセリフで終わる。 ストーリーは全然面白くないんだけど、何故か何度も読み返していた。 今から考えてみると、僕はこのマンガの絵が好きだったんだと思う。 マンガの設定は日本なのに街並みや建物の描写は外国風で、頻繁に登場するビールもクアーズなど海外のものだった。 当時高校生だった僕は、作者の描く異国風の世界に漠然とした憧れを抱いていた。 大学受験を控えた時期だったため、大学に入ったらハートカクテルに登場するようなおしゃれな街に住み、高い天井で大きなファンが回る生活感の無い部屋でクアーズを飲みながら・・・、と理想の一人暮らしをイメージしては授業に集中できない日々を送っていた。 でも、実際に入学した大学周辺の街並みや予算の制約などから現実を知り、そんな夢はどこか遠くへ行ってしまった。 社会人になってからも、バタバタした生活の中でハートカクテルのことを思い出す事は無かった。 3年前からNYに住んでいるが、前半は仕事と受験勉強が中心の毎日だったので、高校時代に憧れた異国での生活を楽しむ余裕は無かった。 その後、仕事や大学に慣れてきた昨年の半ば頃からようやく余裕が出てきたことに加え、ブログを始めたことにより写真を通じてNY生活を実感するようになってきていた。 きっかけは11月8日付エントリーのこの写真だった。 ここで写真を撮ったのは初めてのはずなのに、このシーンをどこかで見たことがあるような気がしていた。 その後数日たって、ある時ふとハートカクテルのことを思い出した。 すると何としてもハートカクテルを読みたくなり、でも既に絶版となって販売していないので、ヤフー・オークションで落札したものを日本から送ってもらった。 懐かしさに浸りながらパラパラとページをめくっていくと、「お目当てのページ」に辿り着いた。 上の写真を撮ろうと思った時、もしかしたら記憶の片隅にこの絵のイメージがあったのかもしれない。 そういう目でハートカクテルを読んでいると、僕が撮る写真の構図にこのマンガが少なからず影響を与えている気がしてくる。 ハートカクテルを15年ぶりに読んで、高校時代の懐かしい記憶と当時の海外生活のイメージがよみがえってきた。 いま僕はハートカクテルの主人公と同世代となり、マンガに登場するような風景を日常的に目にする生活を送っている。 それは高校時代に憧れた生活のイメージとは少し違うけど、ハートカクテル・マインドを刺激する風景に囲まれた今の生活をもっと楽しみたいと思った。
by nycyn
| 2007-02-02 14:05
| 雑感
|