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ホワイトカラーエグゼンプション

少し前まで頻繁にメディアに登場していたホワイトカラーエグゼンプション(WCE)に関連して、こんなものを見つけた。

1/18 経済財政諮問会議 議事要旨
丹羽宇一郎伊藤忠商事株式会社取締役会長の発言
ホワイトカラーエグゼンプションについては、どうも風潮として経営者が悪人でいつもいじめているようにとられがちだが、そういうことではない。ホワイトカラーエグゼンプションの本当の趣旨は、大手企業の大部分がそうだが、若い人でも、残業代は要らないから仕事をもっと早くスキルを身につけてやりたい、土日でも残業代は要らないから出社したいという人がたくさんいる。しかし、経営者がしてもらっては困ると言っている。なぜなら出社されると残業代を全部払わなければいけない。家で仕事をするよりも、会社に来て色々な資料もあるし、これで自分が人よりも早く仕事を覚えて仕事をしたいんだと。それを今は仕事をするなと言っている。ホワイトカラーエグゼンプションの制度がないからだ。だから、少なくとも土日だけはホワイトカラーエグゼンプションで、残業代は要らないから仕事をさせてくださいという人に、仕事をするなという経済の仕組みというのは実におかしい。これを何とかしてあげたい。その代わり、ホワイトカラーエグゼンプションの導入で過労死など色々な問題が起きては困る。それは内部告発制度、禁固刑を含む罰則をつくることで対応する。制度には光と影が両方あるわけだが、影の部分だけを取り上げて、これはけしからんという議論はいかがなものか。やはり日本の産業を本当に強くしていくためには、そういう制度も私は必要だと思う。その代わりセーフティネットをやっていけばいいのではないか。経営者として、生産性の向上や産業の発展のためにも、過労死など色々な問題への対策を考えず、つぶされるのは非常に残念である。外国、特にアメリカではそういう制度があり、どんどん働きたい人は働かせている。日本ではできないのは実におかしい。ホワイトカラーエグゼンプションよりも自由労働時間制がいいのではないかと思う。

丹羽さんの発言「残業すると残業代を払わなければならない、だから残業させない」とは、下の図の「A」のことだろう。
一方、WCEとは、一定条件の下で「B」(残業しても残業代を払わない)が法的に可能になるというもの。
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ちょっと前までは違法であるBが当たり前のように行われていたけど、最近は労基署がうるさいから大企業を中心にAになりつつある。
尤も、現在も一部の企業ではBが行われているんだろうけど・・・。

発言にある「残業代は要らないから出社したい」という人が「たくさんいる」かどうかは疑問だけど、「多少は」いると思う。
実際、僕も仕事が終わらなくて週末に出社したことが何度もあった。
会社のためという意識は全く無いんだけど、自分のプライドとして担当した仕事を満足のいく形で仕上げられないのは好きじゃない。
だから、丹羽さんが言っていることもある程度は分かる。

一方、「残業代を払わなければならない」との発言はどうなんだろう。
この発言を聞いたら、「残業時間に応じて残業代を払えばいいじゃん」(=「C」)と皆が思うはず。
会社にとって必要な仕事を土日にしているのであれば、当然残業代を払うべきだろう。

丹羽さんもこんな事は十分認識しているはず。
だとすると、彼の本音は「一部の企業が違法であるBをやって人件費を抑制する一方、法律を守ってAを徹底している企業や、残業代を払っているCの企業が競走上の不利益を被ってはかなわん」ということなのかもしれない。
でも、諮問会議の場で「違法行為をやっている企業がある」とは言えないだろうから、上記のような一見「はぁ?」というような内容の発言になったのではないか。

しかし、上のA~Cどれを選択しても必ず問題は発生するのである。
A:まさに社会主義(=現状)、企業(日本)の競争力低下
B:サービス残業を強制される(発言中にある内部告発等の対策がワークするはずなし)
C:残業代欲しさにムダ残業をする奴が出てくる

ということで、A~Cのどれが良いかは分からないんだけど、良し悪しは企業によって異なってくるんだろう。


なお、WCEの前提となっている「ホワイトカラーの報酬は労働時間比例では決められない」との考え方は僕も賛成。
単純作業の労働者とは違うので、時間では無く成果に応じて報酬が決まるべきだと思う。

でも、ここで問題となるのが「成果」の測り方。
営業のように成果が数字で測れる職種はいいだろうけど、企画系の仕事などはどうするのか。
数字になって表れない以上、上司が「成果」を評価するしかないだろう。
じゃあ、上司の評価が公正では無かったらどうするのか・・・
外資系投資銀行などでは上司がボーナスプールの多くをぶんどってしまい、部下には十分なボーナスが分配されない、なんて話もちらほら聞くし・・・

とまあ、どこまで行っても問題が全て解決されることは無いだろう。

そんな中、僕が思いつく改善策は、360度評価(部下も上司の「評価」を行う)を導入すること。
現状、多くの企業では上司が部下から評価されることは無いけど、これは上層部へのゴマすり、部下への不公平な評価につながりやすい。
だから、上司の評価のうち一部分(例えば3割)を部下による評価で決定すべきだと思う。
こうすることで、上司も適度な緊張感を持って部下と接することになり、評価への納得感が高まって部下の士気も高まるだろう。
もちろん、これが万能薬とは決して思わないし、巷では副作用の存在も指摘されているけど、個人的にはメリットの方が多いと思う。

僕は入社直後から事ある度に360度評価導入の必要性を人事部に言って来たけど、反応はいつも同じで「部下のご機嫌取りをする上司が増える」というもの。
いやいや、部下による評価は全体の一部(例えば3割)なんだから、そんな極端な事にはつながらないだろう。
そんな反論をするなら、「現状は(評価の100%を握っている)上司のご機嫌取りをする奴ばかり」ということを認めるようなものだぞ。

そもそも、(日系)企業は「上司の判断・評価は常に正しい、上司は指導者であるべき、部下はロクなことを考えないから上司の判断に従ってその評価を受け入れろ」という前提を置きすぎだと思う。
これだけ経済が複雑化してくれば、「あらゆる場面で上司が正しい」なんてことはあり得ない。
この辺りが分かっている上司の評価は納得感が高く部下からの信頼も厚いんだけど、分かっていない上司はその逆で、360度評価導入により不利益を被る後者が多数派かつ反対派なのである。

という反論を人事部にすると決まって嫌な顔をされるので、それ以上は突っ込んで言わないんだけど、真剣に検討すべきだと思う。
360度評価は職位が上に行けば行くほど受け入れ難い制度だということは分かるけど、企業の長期的な発展を考えれば、若手の活性化と無能な上司の排除につながる同制度を導入する価値はあると思うんだけどな。


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by nycyn | 2007-01-28 14:02 | 雑感