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ニューヨークの生活、MBA、仕事・・・
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教育改革

今日、金曜日で今年の仕事もおしまい。
米国では元旦が休みになるだけで2日からは通常通り仕事が始まるので、年末を迎えたという風情はあまり感じられず、当然納会のようなものも無い。

とは言え、やはり最終営業日ということで職場はのんびりモード。
僕もそれに便乗して、今日は殆ど仕事をしなかった。
ニュースをチェックしたりメールしたり、長めのランチを取ったりしてだらけた一日を送った。
休暇明けの今週は飲み会が続いて疲れていたこともあり、会社を早く出て髪を切り、観光客で異常に混雑した道を避けて車道を歩いて帰宅した。


そんなダラダラの午前中にエコノミストの記事を読んでいたら、日本の教育改革の記事が載っていた。
タイトルは"The wrong answer"で、要約するとこんな感じ。(原文は一番下)

各国の子供の学力を測定するテストにおいて、日本は年々順位を下げている。
親は子供のいじめや自殺の問題を心配している。
こうした事態を受け、政府は次の選挙対策として「何でもいいから」何か対応しなくてはと焦っている。
政府が考えている教育改革案は、変化の早い情報社会や国際化に対応するものではない
文部科学大臣は、国の歴史・文化の深い理解に加え、正しい日本語の習得を最重要課題に挙げるとともに、国会では学校で愛国心を刷り込むことを求める法案を可決した。
日本経済は過去数十年で大きく様変わりしている一方、学校のシステムやカリキュラムは60年前から変わっていない。
このカリキュラムは「生産ラインで文句を言わずに長時間働く子供を養成する」ことを目的としており、言葉や数式の暗記に重点が置かれている。


僕は教育についての知見は広くないし普段あまり考える事も無いんだけど、日本語じゃなくて外人が書いた英語のニュースで見ると、何故か考えさせられてしまった。
また、小学校時代は一度も家で勉強したことが無く、クラス平均以下の成績しか取れなかった僕が小学校教育について述べるのは説得力が無いかもしれないけど、この記事を見ると何も考えずにはいられない。
特に、海外で生活している者として、英語教育については一言モノ申したい。


小学校における英語教育の必要性について、個人的には是非ともやるべきだと思う。
反対派の人達は「英語をやる時間があったら日本語を完璧にしろ、英語なんかやったら日本語が更に乱れる」と言うが、ここで言う「日本語の乱れ」とは何だろうか。
敬語が適切に使えなかったりコミュニケーションが上手く取れない人が増えてきていると言われるが、これは日本語の問題じゃなくて精神・姿勢の問題だろう。
一方、仮に「乾坤一擲」「不惜身命」といった関取の口上のような言葉を知らないことを持って「日本語の乱れ」と言っているのであれば、別に構わないのでは、このような言葉を遍く全ての人が知っている必要は無い、やりたい人が大学などで勉強すればいい、と思う。

暗記中心の勉強に関しては、暗記の全てが悪いとは思わない。
特に、算数において暗記は必須だと思うし、九九を二桁×二桁までやっている国もあると聞く。
一方、社会のような科目において、例えば年号を暗記したりするようなものは不要だと思う。

だから、限られた時間の中で何を足して何を削るのか、という議論を十分に行えば、「英語教育を開始すると・・・」という議論はある程度解決するはずなのである。
個人的には、絶対的な勉強時間をもう少し増やしても良いのでは、とも思うけど。(←勉強していなかったお前が言うな)


それよりもむしろ、こういう技術論に入る前にある「何のために英語を勉強するのか」という部分に問題があるのではないか。
これだけ国際化が進む中で、世界最高のスピードで高齢化が進む日本が世界第二位の経済大国の地位を維持・向上させるためには、成長の源泉を海外の市場や人材に求めるのは当然の流れ。
にもかかわらず、高齢の政治家を中心として英語教育の早期化に後ろ向きなのは、導入を阻止するインセンティブがあるのではと考えてしまう。
例えば、十分な英語教育を受けていない世代が職を失うとか、海外の安価な労働力に対する参入障壁となっている日本語オリエンテッドな産業界とか・・・
この不利益を被る人達が選挙の結果を左右していて、政治家が次の選挙のことだけを考えていたとしたら、日本にとってこんな不幸なことは無い。
会社経営もそうだけど、あと数十年(十数年)でこの世(会社)を去る人達が多くの物事を決めている現状では、日本の将来のことを考えろと言っても難しいのかなあ・・・(言いすぎ?)
だから、英語教育導入反対の理由に「日本語が・・・」と言っている人達は、こうした「本当の理由」を隠しているだけだと思っている。

他には、実践的な英語を教えられる教師がいないという問題もあるけど、人材を海外に求めればすぐに解決する話。
ただし、これによって不利益を被る人達による政治力がここでも問題になる。(教師の団体の政治力が強いのかどうかは知らないけど。)

こうした考え方に基づけば、「日本の長期的な将来利益」と「制度を作っている人達の利益(選挙での当選)」が一致していないところに問題の根源がある。(ビジネススクールでよく出てくる"Mis-alignment of interests")
この「利害の不一致」を解決するためには・・・という議論を始めると政治の話になってしまうが、日本の英語教育推進が進まない大きな理由はこの部分にあると勝手に思っている。
また、先日書いた宗教の話じゃないけど、過去数千年に亘って実質的な鎖国状態にあった島国ニッポンの歴史を考えると、外国との本格的な交流につながる英語教育強化には多くの人が及び腰になってしまうのかもしれない。


じゃあ、どうすれば良いのか。
諦めるわけじゃないけど、必要に迫られてからしか実現しないと思っている。
将来予想される不況、人材不足、空洞化、年金財政破綻・・・、何がきっかけになるか分からないけど、外国人労働者を受け入れざるを得ない事態を迎え、英語教育を強化せざるを得なくなる、というシナリオ。
あまりに悲観的じゃないか、というご意見もごもっともだけど、僕はそれくらい政治に対して無力感を感じている。
まあ、先日NYから帰国した友人が政治を変える(お手伝いをする)ためにがんばってくれるだろうから、それに期待しようかな。


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The wrong answer - Japanese education
23 December 2006
The Economist

Patriotism classes in Japan

Instilling love of country is not the main challenge for Japan's schools

SOMETHING has gone terribly wrong with Japanese education—or so say the Japanese. They fret that Japan has slipped down the international rankings for high-school literacy, mathematics and science. In the OECD's last assessment of 15-year-olds in 41 countries, Japan remained a healthy second in science, but had fallen from first to sixth in maths and from eighth to fourteenth in reading ability.

Parents are also worried about the resurgence of bullying and suicides among schoolchildren. Facing probable defeat in next summer's upper-house election, the fledgling government of Shinzo Abe has been casting around desperately for something—anything—to prove that it really is listening to people's concerns. Education is seen as a handy distraction.

The kind of reforms the government has in mind, however, are not designed to help young people make critical judgments in a fast-changing, information-driven, global environment. Instead, the ruling Liberal Democratic Party and its coalition partner, the New Komeito, have rewritten Japan's post-war education law with the aim of boosting patriotism among the young.

Bunmei Ibuki, the education minister, also believes elementary schools have no place teaching foreign languages such as English. The first requirement, he insists, is that pupils acquire what he calls a “Japanese passport”—ie, a thorough grasp of the country's history and culture, and perfection in their own language.

Parliament's lower house has approved legislation which, besides stressing the importance of parental guidance, requires schools to instil “a love of one's country” in children. The opposition parties boycotted the recent lower-house vote, but the ruling coalition's majority in the upper chamber has allowed the bill to scrape through and become law.

Because it was used in the past to fan the flames of militarism, teaching patriotism has long been taboo in Japan. With its heavy emphasis on morality and nationalism, the new legislation bears some resemblance to the Imperial Rescript on Education of 1890. In the decades up to the end of the second world war, children were forced to memorise the rescript and recite it, word for word, before a portrait of the emperor. Following Japan's surrender, the allied occupiers ended the practice, appalled by its demands for juvenile self-sacrifice in the name of the emperor.

The paradox is that Japan does need serious education reform. The school system and curriculum were designed 60 years ago, when a generation of children from farming communities were being trained for long, uncomplaining hours on production lines. In the intervening years the economy has changed out of all recognition. Yet the education system—with its continued emphasis on facts and figures and drilling of mental arithmetic—has remained stubbornly rooted in the past.

Its continued economic success suggests that Japan's teenagers are paying less heed to all this, as they quietly master the creative skills needed to prosper in a modern world. In this context, perhaps those perplexing slippages in formal grades, mirrored in other post-industrial countries, ought actually to raise a cheer.
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by nycyn | 2006-12-30 13:11 | 雑感