NewYorkScenery
nycyn.exblog.jp

ニューヨークの生活、MBA、仕事・・・
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
サル?
f0081958_6464071.jpg知人が貸してくれた「投資銀行残酷日記(サルになれなかった僕たち)」を読んだ。
最近は投資銀行で働く・働いていた方とお会いする機会が増えてきたので、読んでみたいと思っていた本。

内容は、DLJという投資銀行で働いていた二人が投資銀行の内部を暴露するような内容となっていて、アマゾンでは以下のように紹介されている。

元DLJマン2人が、知られざる投資銀行の日常を激白したウォール街の超話題作! 重要な仕事をしているから給料が高いのではない。とんでもない仕事をしているから銀行の給料は高いのだ! トップ・ビジネススクールからウォール街の一流投資銀行へ、夢にまで見た投資銀行に入った2人が体験した真の投資銀行マンの姿とは・・・。 『ウォールストリート 投資銀行残酷日記~サルになれなかった僕たち~』は、“僕たち”がいかにして若き投資銀行マンというありがたい身分を捨てたかという物語だ。“僕たち”がいかにして創造性を失い、考える能力を失い、余計なことを言わずに指示されたままに動くことを学んだか。世界の頂点を目指しているつもりだった2人の若者が、気づいてみたらゴミの山の下敷きになっていたいきさつが赤裸々に語られている。

この本によれば、投資銀行(の一部の部署)は以下のようなところらしい。(本文の内容を僕の記憶ベースで要約)

投資銀行はMBA卒業生に最も人気のある職業であり、その最大の理由が報酬の高さである。MBAを卒業して入社した年(27歳前後)の年収は約二十万ドル(約2400万円)にもなり、その後の昇給率もかなり高い。(約10年前の水準)

投資銀行が学生を勧誘する際は報酬だけでなく、世界の金融をリードするウォールストリートで働くことの魅力をアピールするが、(作者によれば)これは全くの嘘。報酬の水準を他業界の何倍にもしておかないと、顧客を騙すような仕事や、上司からの理不尽な要求に耐えられる社員がいなくなってしまう。

MBAで学んだことを活かす仕事はあまり無く、ひたすら計算と資料作りに没頭する。

「計算」とは純粋な計算ではなく、データの改ざんまではやらないが、自分たちがナンバーワンであると主張できる都合の良い数字を組み合わせることである。(例:DLJは業界一位である! 但し、**の分野における**億円規模の企業の債券発行で、**と**を除き、**年5月から**年1月までの期間について ← 「但し」以降は極小フォント)

「資料作り」とは「複数の上司の趣味に合う資料に仕立てる」ことであり、日本語でいう「てにおは」の修正からグラフの色、フォントサイズ、下線を引く箇所、など、(作者に言わせると)どうでもいいことに徹底的に拘る。原稿作成→上司の修正指示→修正→再修正指示→再修正→再々修正指示→再々修正→上司の了解、という手続きを複数の上司と行い、これを(10年前は)ワープロ課でタイプしてもらい、印刷課で印刷してもらう、ということを延々とやるため、1ページの資料に48時間かかることもある。複数の上司が修正指示を出すため、48時間かかって出来た最終的な資料は最初の原稿とあまり変わらない、ということもある。

若手の仕事は激務であり、上司・先輩からは奴隷のように扱われる。夜に翌朝締切の仕事を依頼されることは珍しくなく、一日の平均睡眠時間が4時間だったりする。事実、プライベートな時間は殆ど無い。

通常の精神の持ち主が長年投資銀行で働くことは不可能であり、善悪の区別がつかなくなったり、自分も将来部下に同じことをして憂さ晴らしをしてやる、という人(サル)でなければ続かない。

恐らく誇張も入っていると思うけど、要は異常なところらしい。
また、DLJは投資銀行の中でも「エグイ」銀行として有名だったとのこと。

f0081958_6585344.jpg


これを読んで、世間の人はどう思うのだろうか。

この本は投資銀行の「残酷さ」を綴っていると聞いていたから期待していたんだけど、正直を言うと、下品な例え話を除けば「なんだ、そんなもんか」というのが僕の印象で、むしろ共感してしまう部分が結構あった。
社内に酷い上司はいくらでもいるし、本に出てくるような「どうでもいいことで何度も指示を出してくる人」も沢山いる。
日本にいる頃、「計算」や「資料作り」はやっていなかったけど、最も急がしい時期は朝6時に家を出て夜中1時に帰ってくる生活をしていた。

だから、部署や上司によって差はあるけど、日系金融機関も似たようなもんだと思う。
僕が入社する前のバブルの頃はもっと酷かったかもしれない。
投資銀行と違うのは給与水準くらいか。
最近は役所がうるさいから、ここまでの激務は殆どないと思うけど。


日本に比べるとアメリカではワークライフバランスが重視されるイメージがあるんだけど、そんなアメリカにおいては、プライベートを半ば放棄して仕事に集中することを求められる投資銀行は相当酷いところ、ということになるのかもしれない。
日本だと、この本に出てくるような企業も結構あると思うんだけどな。

f0081958_6591243.jpg

[PR]
by nycyn | 2006-10-10 07:04 | 雑感