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愛国主義?
2006年 03月 24日
フランスで敵対的買収を阻止する法律が成立したらしい。フランス政府はこれまでダノンやスエズへの買収の動きを阻止する行動を取ってきたので特別驚きは無いけど、「本当にやっちゃうのね」という感じは否めない。
フランス議会の上院で23日、仏企業を敵対的買収から守るための新法が与党の賛成多数により成立した。時価を大幅に下回る価格で株式を引き受ける権利を付与するポイズンピル(毒薬条項)を仏企業に認める条項を盛り込み、ドビルパン首相の唱える「経済愛国主義」を前面に打ち出している。ところで、フランス人はやっぱりマイペースだと思う。僕のクラスにもフランス人がいて、一度バイキング形式のランチで一緒になったことがあるけど、45分しか無いランチタイムで、スープ、野菜、肉&魚、デザートと4回に分けて料理を取りに行き、バイキングをコース料理のようにしてゆーっくり食べていた。僕は午後の授業に遅れそうだったので先に失礼したのだが、彼はその後もコーヒーを飲んでいたらしく、当然のように授業には遅刻していた。 話はそれたが、やはりフランス人。英米から何を言われようが、プライベートエクイティファンドが流行ろうがおかまいなし、自らが「正しい」と信じる道を突き進む。僕には今回の一連の動きは「国粋主義」にしか見えないが、当該法律を支持している人達は「愛国主義」という表現を使用。そう言えば最近のフランスでの暴動、今回の法律制定の背景にある思想が原因のような気もする。この「愛国主義」という表現、どこかの国も「パトリオット法」というずるい名称を使って捜査当局の権限を異常に強化する法律を制定しているが、こういうところは似てるのかもしれない。 翻って、我らが日本。何かスタンスが中途半端だなぁ。ホリエモン騒動とか楽天vsTBSとかあったけど、喉もと過ぎれば熱さを忘れ、既に過去のものとして多くの人が興味を失っていないかい?買収のあり方についてあんなに騒いでたのに、KKRやサーベラスが日本法人を設立して本格的に日本で買収を繰り広げようとしているのに、あまり話題になっていないような気がするのは僕だけだろうか。 僕は買収については中立的~やや好意的で、頭の固いおじさん達のように「買収=ハゲタカ」とは決して思わないけど、アメリカを中心としたバイアウト「フィーバー」に対しても少々違和感を感じている。良い案件もあれば、小手先だけの案件もあるから、「買収とは○○」と極端なスタンスは取れないと思っている。 懸念してるのは、日本人の流されやすい性質。今回のフランスの動きを見て、当選回数の多い先生方が「これだ!」とかって思わないかどうか、ということが心配。援軍得たり、とばかりにフランスの動きに追随するようなことが無ければいいと思う。 買収にも善悪があるが、上昇気流に乗れるかどうかの瀬戸際にいる日本経済にとって、買収という手段は「愛国主義」の観点からはメリットの方が多いと感じている。旧態依然とした会社で業績も怪しい会社は、劇薬が必要だ。 アメリカのPEファームの話を聞く事があるが、彼らは「日本は最も魅力的な市場の一つ」と声をそろえる。前述のKKRやサーベラスが数年後に日本オフィスを畳んでいるようなことがなければいいけどなぁ。
by nycyn
| 2006-03-24 14:48
| 雑感
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