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日本人の自己主張
昨日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日米戦で後味の悪い判定があった。8回表、3対3、日本の攻撃、1アウト満塁からレフトフライで3塁ランナーがタッチアップ、ホームを踏んで勝ち越した。その後、アメリカ側がタッチアップのスタートが早かったと抗議をし、一度は3塁塁審がセーフのゼスチャーをしたものの、しばらくテレビから目を離していたらアウトに変わっていた。。。これは単なる際どいプレーの判定ではなく、一度決定した判定が抗議によって覆されるという、非常に珍しいケースだ。

野球はあまり詳しくないのだが、ESPNが流すビデオを見る限り、捕球より早く体重移動はしているものの、ベースから足が離れるのは捕球後だったように見える。しかし、ESPNの解説者は「あれは確かにアウトだ」といったコメントを展開。

日本のメディアは、感情を挟まずに淡々と「判定が覆りました」的な伝え方をしているが、アメリカのメディアは、USA TODAYが「判定は間違い」と断言し、New York Timesは「判定が覆ることは稀、友好的なWBCの雰囲気が変わった」と、アメリカ人である審判に批判的なトーンが目立った。また、審判がアメリカ人で、数年前にメジャーを解雇され、現在はマイナーリーグの審判である旨も強調されていた。ESPNの見出しで「日本は判定に不満」と書かれていたのはムカついたが。

f0081958_12274317.jpgこのプレイを見て、日本人の立場から「やっぱりアメリカは・・・」といった議論を展開するつもりは無い。気になったのは、日本チームのその後の対応だ。上記米紙では「日本は10分間に亘ってプレー続行を拒んだ」と報じたが、僕は王監督の紳士的な抗議の仕方、監督が諦めると同時にキャッチボールを開始する選手の姿に、日本人のスポーツマンシップ、潔さを感じた。

逆に、日本で開催された試合で日本人の審判から不利な判定変更をアメリカチームがされたとしたら、アメリカチームは同じように紳士的な態度を示しただろうか?アメリカの監督は冷静に抗議し、主張が通らないと分かったら、納得して引き下がっただろうか?いやいや、NHLの賃金交渉等を見る限り・・・。ゴネてゴネて、観客や相手チームの存在を無視し、ゴネ倒して何とか自らの主張を通そうとしたのではないだろうか?

極端な例だが、何年か前のオリンピックか世界陸上か何かで、2度目のフライング判定で失格となったアメリカの陸上選手が、抗議のためにトラックに1時間くらい寝転がって競技続行を妨害していたのを思い出す。あの時は、観客も彼に同情的だった。

今回の日本チームの対応を、アメリカ人はどのように受け止めたのだろうか?残念ながら、この点についてはメディアでは触れられてなかった。「判定の変更を認めたのだから、日本チームもあれはアウトだと思ったはずだ」といった誤った解釈がなされなければ良いが。あの場で日本チームがゴネ倒したら良かった、と言っているのではない。あくまで、「日本らしさ」が出たシーンだと思った次第。「潔い」と思う一方、異なる視点から見れば「交渉に弱い」ということになる気もする。

日本はスポーツの世界で、欧米の「圧力」に押し切られてきた歴史がある。日本のお家芸である柔道では体が大きくて力の強い選手に有利になると言われた「効果」が導入され、以前は日本人選手が活躍したスキージャンプでは身長の高い選手に有利となるスキー板の長さ規制が導入された。当然、日本は反対意見を表明するものの、無視されたりいなされたりして、結局は欧米の思いのままの変更が加えられてきた。

ビジネスや政治の世界でも同じことが言えるのではないだろうか。例えば、国際的な会計基準を検討している国際会計基準審議会(IASB)では、日本の主張はことごとく無視されていると聞く。日本人をタフネゴシエーターだと思っている人は世界中どこにもいないだろう。クラスメートの一人は「オランダ人と中国人とだけは交渉したくない。奴らと交渉しても翌日には平気で「忘れた」とか言うからな。その点、日本人は「紳士的」でいいよ」と言っていた。「紳士的=簡単にねじ伏せられる」ということなのかどうかは分からないが、少なくとも政治の世界ではそのように解釈されていると思う。日本のビジネスも国際化が進んでいる中で、色々と考えさせられるシーンだった。
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by nycyn | 2006-03-14 12:35 | 雑感